適量のお酒は体に良い?悪い?

適量のお酒は体に良い?悪い?

習慣的にたくさんのお酒を飲むことが、体に悪いことは疑いありませんよね。アルコールを代謝する肝臓の病気だけでなく、老化の原因になったりするなど、大量の飲酒を長期間続けることは間違いなく健康を損ねます。

それでは、適量のお酒を飲むことはどうでしょうか?

例えば、フランスやスペイン、イタリアなどのワインをよく飲む国では、毎日1杯のワインが健康に良い影響を与えている、という説が唱えられていることもあります。

その一方で、適量であってもお酒を飲むこと自体が体に悪いのだという説もあります。

適量のお酒が体に良いという説は

まず、「適量のお酒」というのがどれくらいの量を表すのかですが、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度を意味することがあるようです。

ただし、適量には諸説ありますし、健康状態やアルコールの分解能力も人によって異なりますので、もう少し多かったり少なかったりすることもあります。

日本人を対象としたある研究では、お酒をまったく飲まない人よりも少量飲む人の方ががんや心血管疾病のリスクが小さくなることが示されました。

ただし、この研究ではお酒を少量飲むこととがんや心血管疾病のリスクが低いことはあくまで相関関係で、因果関係ではない点には注意が必要です。

また、統計上の問題もあります。

「お酒をまったく飲まない人」の中には、健康だけどお酒を飲まない人だけでなく、何らかの大きな病気が原因となってお酒をやめてしまった人が含まれていることもあります。

当然、健康でずっとお酒を飲んでいない人と、もともとお酒をたくさん飲んでいたが、病気などが原因で現在はお酒を飲まなくなっている人では、がんや心血管疾病になるリスクは大きく変わってきますよね。

昔の研究の中にはどちらもお酒を飲まない人として扱っていたものもあるので、注意が必要です。

もちろん、現在の研究では両者を明確に区別しているようです。

また、お酒を飲まない人は一般的に健康に対する意識が高い人が多いのではないかという問題もあります。

健康に対する意識が高い人では、食事も健康に配慮した内容になっていたり、適度に運動をしたり十分な睡眠時間を確保するなど、そもそも病気になるリスクが低い生活スタイルを持っている可能性があります。

こうなってくると、少量のお酒だけが理由となって病気になるリスクが低いと考えることは難しいですね。

このような統計上の問題から、お酒を少量飲むことが直接の理由となって病気のリスクを下げるということには、懐疑的な意見も少なくありません。否定しないまでも、統計上のあいまいさは残るという意見も強いようです。

とは言え、少量のお酒が健康に良いかどうかはさておき、大量の飲酒よりもずっと健康に悪影響を与えないことは確実です。

アルコールは酸化ストレスを上げる

実は、厳密に言えば、お酒は少量であっても体に悪い影響を与えます。

ただし、悪い影響と言っても、健康な人であれば体の仕組みによってうまく対処できるので、そのまま病気になったり健康を損ねたりすることはありません。

お酒を大量に飲んでいると、1回の飲酒のたびの悪影響が積み重なり、最終的には病気につながってしまうリスクが上がります。

1日一杯程度のお酒であれば、悪影響はあったとしても小さいので、大きな問題とはなりにくいわけですね。

さて、お酒を飲むことによる悪影響とは何でしょうか。いろいろとありますが、一番の問題は酸化ストレスです。

人間の体の中には活性酸素と言われる、通常の酸素よりも酸化力の強い酸素が存在しています。

活性酸素には何種類もあり、体内に侵入してきた細菌をやっつけるなどの大切な働きも担っていますが、同時に健康な細胞を酸化させることでダメージを与えてしまうこともあります。

細胞が酸化してサビてしまうと、老化やさまざまな病気の原因となってしまいます。

健康な人間であれば活性酸素を除去する仕組みが働くため、問題はありません。

しかし、年をとって活性酸素を除去する体の働きが弱くなったり、さまざまな理由で活性酸素が増えると、健康に悪影響を与え始めてしまいます。

活性酸素が増える要因としては、紫外線、暴飲暴食、加齢、激しい運動、喫煙などいろいろありますが、お酒を飲むことも含まれています。

実際、大量の飲酒を日常的に繰り返している方は、お酒を少量しか飲まない方やまったく飲まない方と比べて、体内の酸化ストレスはかなり上がってしまっている可能性があります。

さらに、お酒を少量しか飲まない場合でも、酸化ストレスは上昇します。アルコール分解の過程で活性酸素が増えるからです。

ですが、健康な人であれば、少量の飲酒によって発生した活性酸素は処理されるため、問題となりません。

ただし、お酒は少ししか飲まなくても、喫煙や激しい運動を日常的に行っていたり、暴食を繰り返す生活を行っていると、少量の飲酒で発生した酸化ストレスも無視できない影響を与えるかもしれません。

最初に統計の話で触れたように、少量の飲酒が健康にどのような影響を与えるかは、他の生活習慣と関連させて考えた方がより良いと思います。